ママファミ世代へ贈る マネーコラム

Vol.1 備えのカタチ

「おばあちゃんはよくチョコレートをくれる」幼い頃の私は祖母にそんな印象を持っていました。
ただ、それが続いたのは20歳頃までです。

大人になってからチョコレートをくれることはなかったのですが、ある日会いにいくと、再びチョコレートをくれるようになりました。「チョコレートなんてどうしたの?(笑)」と聞くと、「もうすぐ小学校3年生になるべー?」と言うんですね。そのとき、私を小学生だと認識していることが分かったんです。そこから会うたびに記憶が逆行していったようで、祖母の中で私はどんどん幼くなっていきました。会話が噛み合わない、何かを伝えても直ぐに忘れる、同じ内容の会話しかできない、私の知っている祖母はどこか遠くへ行ってしまったように感じました。

そこから祖母の介護は始まりました。
祖母は離婚をして独り身だったため、一人っ子だった私の母がほとんどの面倒を見ていたのですが、「精神的な負担」「肉体的な負担」「経済的な負担」など、母の負担は本当に大きかったと思います。特に「経済的な負担」の部分は、数年経った今でも引きずっている状況です。

介護にかかるお金はだいたい月8万~9万円。しかし、祖母は保険などには何も加入しておらず、受け取っているお金は”国民年金”で月5万~6万円だったため、娘である母が工面しなければなりませんでした。その小さな差額は当時の実家の家計には重くのしかかりました。想像してみてください。自身の両親がそういった状態になった場合、誰が面倒をみますか?どんな方法で?支払いは誰が?

私はこの経験から、大好きだった祖母に対し、「なんで何も準備していなかったんだろう」という疑問が浮かびました。もちろん、時代が違いますし当時の祖母の状況もあったとは思います。しかし、何も準備をしていなかったことで、自身の子供や孫にまで影響を及ぼす結果になってしまったんです。

その後、私は転職を決めてライフプランナーの道を選びました。現在は、保険・教育資金・資産形成などのライフプランのアドバイスの他に、母や私のような思いをすることのないよう、介護をされる方だけでなく介護をすることになるであろう方へも「備え」についてアドバイスや発信をしています。何も知らないということは本当に怖いことだと思います。後まわしにして将来の選択肢が減らないように、まずは将来起こりうることを知ってほしいと思います。

次回は、私が母と対話をし、どんな準備をしてきたのか、そういった経験をお伝えしたいと思います。

船木拓也
介護・障がい・資産形成など幅広い分野で活躍しているライフプランナー
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メール:takuya.funaki@prudential.co.jp
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