ギソク陸上部

学研の編集者セレクト★今号のイチオシ本 第25回

綿密な取材と情熱的な想いで執筆された感動のパラアスリート小説。泣けます。

本書の主人公、中学生の成瀬颯斗(なるせはやと)くんは、病気で右足を切断しました。義足を履いて学校生活に戻った彼は、腫れ物を扱うように接してくるクラスメイトとの距離感に悩みます。しばらくたった頃、そんな颯斗くんに、親友がこう言って微笑みました。
「ごめんな。最初の頃はびっくりしちゃって。悪気はなかったんだけど、なんて言っていいか分からなくてさ…。でも、もう慣れたよ」
もう慣れた…
この一言は、本書の大きなテーマの一つです。障害者と共に生きる社会をつくるために必要なこと、それは「知ること」と「慣れること」です。人は、切れた足に限らず、見慣れないものを見ると不安になったり、様々な感情が湧きます。差別意識がなくても、初めて見るものに驚くのです。
でも見慣れてしまえば、やがて普通のこと、当たり前のことに変わっていく…。24時間テレビやパラリンピックをテレビで放送することには、もしかしたら見慣れてもらうという意図もあるのかもしれません。
みなさん、東京、北京のパラリンピックはご覧になりましたか? 今こそ読んで知ってほしい、そして感動してほしい。この本は、前を向く力が湧いてくる、感動必至のパラアスリート小説です。

 

▲巻頭ではカラーでいろいろな義足が学べる!

 

 

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